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黒髪に頬を寄せれば、
目を閉じて微笑む気配がした。
絡まる腕と腕、指と指、体温。
どちらからともなく寄り添っていた。
言葉が見つからずに無言だった。

そして長い静寂の後、不意に君がつぶやく。

今はいい、でも後で寂しくなるんだ。

背けた顔、表情は見えなかった。

部屋の片隅で、重たげな旅行鞄が主張する。
わかってるけど今は考えたくなくて、
答えるかわりに抱き寄せた。

重なる鼓動を感じながら、
遠くに鳥の声を聞く。

夜明けがもう、すぐそこまで来ていた。
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