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対岸の人

彼は僕の日常の外に居る。


ほぼ一月に一度、僕たちはセックスをする
彼の住んでいる場所は少し遠くて、
電車に乗り、小一時間ほどかけて、河を渡り通う
街灯に輝く水面を見ていつも、彼との時間が近づくのを感じる
向こう岸の人

僕は学生
彼は売れないミュージシャン
他にはお互い何も知らない
名前の他は

セックスの前の数十分、僕たちは飲み物を片手に軽い世間話をする
それだけで、後はひたすら、むさぼるように、する
相手の快楽を確かめる他は何も訊かず、ただ、する
名を呼び合って

二人分かち合う空間に満ちる
悲哀にも似た心地よい気怠さ
それを愛している

初めてのときから、ずっと
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