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右手

夢をみた。
彼が居た。

どうして笑っているの、と訊いたら、
何も言わず僕の手をとり、キスした。

開かれた右の掌に、そっと微かに触れるくらいに。


そこに印が残れば良い。

一生消えないような。



(僕が生きれば君たちが滅びる。)
(君たちが生きれば、僕は消える。)

(そして君は…死すべき存在ではない。)



僕を好きだといって差し伸べた、
君の腕には見えない無数の傷跡がある。
(背負い難い生、重すぎる運命)

…何故だかそんな気がしてならない。


だから僕にも刻んで欲しい。
いつまでも君を、覚えていられるように。



そして痛みとともに、鮮やかに蘇る。

あの日の夕焼けにも似た橙の水面、
立ち尽くす異形となった僕の、
手から腕へとつたい流れた君の血、

世界のために流された朱。



僕を今も、君へと結びつける光景—————




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