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混血児

混血児

僕たちは混血児だ。
大陸にあるこの国では別に珍しくもない。

僕たちの母さまは遠い場所から来た。今は包帯で覆われて見えないその顔は、僕に生き写しだったという。
イル兄さまや僕、ミル兄さんの黒い髪も黒い瞳も、母さまを通じて彼の地よりもたらされたもの。

只一人違っていたのは兄さん——キル兄さんだけだ。柔らかな銀髪。多分きっと、一番父さまに似ていた。

それもあったんだろう。母さまが兄さんを溺愛したのは。それは結局の所、絶望的な一方通行だったんだけれども。



外の世界、旅団、流星街。

女王を前にした彼、の言葉をきいたあのとき胸が騒いだ。
もちろん一番気になっていたのはその後に繰り出されるであろう必殺技だっただけど、いつものたどたどしい発音と一変して、別人のように朗々と響き渡るその声にも、僕は一瞬我を忘れたのだった。

僕には彼の言ったことは何もわからなかった。
たった一つのことをのぞいて。

——あれは、母さまのふるさとの言葉。

子供たちの前でも滅多に発されたことの無い、故郷を捨てたあの人の、記憶の底に眠る響き。
流星街とよばれるその場所の更に奥深く、一族の他の誰も知らず誰も行ったことも無い場所のことばだった。

あなたは、誰。
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