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継ぐ者

「Survive」、および「川岸で」の続き



あんたを犠牲にしたおかげで、

僕の裁きは軽くなった。

そして今は幽閉の身。
判決は恐ろしく早く下りて、刑期は456年。
気が長くなくちゃどうしようもないね。



当然おとなしくしてるつもりなどなくて、とりあえず昨日兄さんに手紙を出した。
あまり期待してないけど、まずは第一歩。
打てる手は打ってきっといつか外に出る。



他の仲間はどうしただろう。
やはりあのあと皆死んだんだろうか。
自首してすぐに僕がしゃべった情報くらいで、彼らがあっけなくやられてしまうとは思わない。
だけど世間はそう噂し始めている。



だとしたら、僕が最後の生き残りなのかな。





最近、幻をみるんだ。
(いよいよ、僕も頭がイカれたかな。)

枕元に彼が立ってる。青白い顔で、首から血が出てる。
何も言わずに黙って僕を見てる。


ほら、今日も。

ねえ、恨んでるの?
答えはなくて、目だけが冴え冴え光ってる———ちょうどあのときみたいにね。


でも、仕方なかったんだよ。
ああしなければ、僕もあそこで死ぬか、即死刑だった。
やられたり、捕まったりした他の仲間みたいにね。

あんただって、苦しかったでしょう?
だから早く楽にさせてあげたんだよ。




やはり彼は答えない。



…他の、仲間に看取られ逝きたかった?
僕ではなくて?


言った途端、ふっと姿がかき消えた。




——そっか。
そうなんだね。

僕じゃいやだったんだ。


(わかるよ。)
(ずっと、共に生きてきたんだものね。)
(濃い、絆。僕との間にあるのとは違う。)



———でも、これだってあんたが望んだ事なんだ。
そうだろ。

人殺し一家の子供を玩具にして侍らせた。
慰み者になりながら僕は仕事を覚えた。


利用し利用され、
汚し汚され
苛み苛まれ、
僕にはあんたが染み付いてた。



えぐられた肉の分だけあんたを食べ、
僕はこんなに大きく育った。

怪物?
かもしれない。

そう、呼んでくれたことがあったね。
きっとあれが、冷たいあんたのくれた最高の讃辞、
あのときは遠く及ばなかったけど、
やっと実現できた気がする。


背が伸びた。嘘つきになった。
強く、激しく、残酷になった。




ねえ、聞こえる?


生きている限り覚えているよ。

あんたの冷たさも、裏切りの記憶も、丸ごと全部背負いながら、
一人生き残り、ここであんたを思ってる。




僕が生きて、生き延びて在ること。
それは結局あんたがいたことの証なんだ。


どう嘆こうと憎もうと、確かなこと。





あんたを継ぐ者、それは僕。








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