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Second Time(3)(16禁)

Second Time(2)の続き。宮原×美鶴です。性描写あります。

Second Time



3.

余裕かましてみせたけど、このとき俺も実はかなり必死だった。

前回のときは自分だけ楽しんだなっていう感じがしていた。
だから何としても今度は芦川をイかせたいと思ってたんだ。半分意地みたいなもんだった。
相手が喜ぶようにできるか自信なんて無かった。これまでのやり取りで既に、同じ男とはいえ芦川は俺と大分違うタイプと感じてた。だから正直、何をすればよいのやら見当がつかない。
とりあえず、女の子にしてたのと同じ手が使えるか試してみることにした。

指と指を絡めたり首や腕にキスを落としたり、出来る限り身体に触れるようにして端から少しずつ大事な部分に向かっていく。芦川は目を閉じたまま受け入れてくれた。最初は神妙な面持ちだったのが次第にリラックスし、胸を舐められたときは何かをこらえるような顔で吐息を漏らし微かに身を震わせた。

しかもそこから先は嬉しい驚き。舌で愛撫を繰り返すとみるみる芦川の呼吸が乱れ、身をよじらせる。体温が上がる。
直接性器に触れない身体の刺激でこんなに感じてくれる男もいるのかと、俺は素朴に喜んだ。
派手な反応じゃないけど、時折漏れる掠れ声が切羽詰まっているからぞくぞくしてくる。



色々な場所を経由してじらしながら、ついに触れたその場所はすっかり固く屹立し、先端から先走りの液を溢れさせていた。そっと包むように触れると濡れた感触が指に絡みつく。芦川が手を口で覆って声を殺した。

「…すごい、さっきよりずっと反応いいね。」
「……。」

切れ長の目で睨まれたが、いつもならすごみのあるその瞳も今は熱を帯びて潤み、全く別の効果を俺の心理と下半身に及ぼした。触られてもいない自分のモノがやはり熱く固く同じ状態になっているのを感じながら、目の前のそれを改めてゆっくりと口に含む。芦川がまた悲鳴を抑える。

勢いに任せて相手の左脚を押し上げ、仰向けのまま片膝を立てさせる形で無防備に晒された箇所を舐めた。その場の思いつきでありとあらゆる場所に舌を這わせ、しゃぶる。芦川は相変わらず声はあげず、ただ身体がびくびくと反応を伝えてくる。
しかし、唾液でべたべたになった指で更にその奥をそっと探ると、芦川がくぐもった声で何かを言い慌てて腰を引こうとした。

「試しにちょっと触るだけだよ。それ以上やらないよ。」

ほらこんなふうに、と脚の間に押し込んだ右の中指でやさしく撫でるように身体の中心に触れる。しかし、そのまま芦川自身を裏筋から舐めあげた時、あっ、と高い声があがりハプニングが起きた。
ずるりと第二関節近くまで、一気に指が沈み込んだのだ。

「うっ、あ…っ、」

途端に芦川が身体を強ばらせ、ぎゅっと指が締め付けられる。痛い、抜いてくれ、と呻く。
本来の用途はそのためじゃないからだろう。無意識のうちに侵入を拒もうと閉じるその場所の、指を食いちぎりそうな圧力に俺も驚く。

だけどやめる気はなかった。逃げようとする芦川を押さえつけ、強引に「もうちょっとだけ我慢してみて」と相手の返事を待たずにまた前を攻める。裏筋を繰り返し舐めると締め付けが少しずつゆるみ始めた。指が更に深く沈む。ゆっくりと動かすと芦川が違和感にこらえきれずくぐもった声をあげる。それを紛らわすように彼自身を更に深く、飲み込むような勢いで咥えこんだ。勢い余って先端が喉に入りかけ、吐き気がして少し涙が滲む。でも続ける。エロの一念岩をも通すじゃないけど、何だか俺も必死だ。

漏れる声に苦痛ではない悩ましげな音色が混じったとき、さり気なくもう一本指を添えると入った。今度は抵抗されなかった。



「気持ち、いい?」

お互いバカみたいに息が上がってる。指の腹に触れる内部は濡れて熱い。

「…っ、は…サイアクだ…お前。」

「…なんで?」

「優等生ヅラして…何、こんな…」

だいたい親のいない家で受験生が何してんだよ、と捨て台詞。
ふと、今頃再婚記念旅行中であろう義父と母、弟妹達の姿がまるで別世界のもののように頭に浮かんだ。確かに俺は何やってるんだろうな。微かに嗤う。

「これ終わったら、模試の勉強する予定。」

囁き、芦川自身を吸い上げる。卑猥な音を立てた。視界の端にカーテンの隙間から陽光。

「…お利口にお留守番、かよ。ふ…ざけやがって…」

芦川は喘ぎながらつぶやいた。最低だ、お前。
俺に聞かせようとしたというより、独り言に近い、低い声。


(最低、か。)
(…確かに。)

答える代わりに俺はゆっくりと指を抜き、少し身を起こした。膝に手をかける。無防備な太ももに臨戦態勢となった俺のモノがかすめるように触れた。
途端、はっと芦川がはじかれたように頭を起こし俺を見る。

「…ちょ、まさかそのままつっこんだりしないよな。」

一瞬動作が止まって、見つめ合ってしまった。

「指が入ったからっていきなり…無理だろ。」

怯えに濡れた声だった。見開いた瞳の睫が震え、本当に狼狽している様が伺えた。変だ。芦川がこんな顔するなんて。
だけど俺も変。喉がはれぼったくなってカラカラで、答えようとして、すぐに声が出なかった。鋭い不安に突き動かされ熱を帯びたまま不自然に瞬く芦川の眼差し、上気して微かに汗ばみ鈍く光る肌、頭がくらくらしてくる。

「おい、やるなよ。俺はそこまでしていいって言っていない。」

上半身を起こし、自分の脚にかけられたままの俺の手を外そうとする。その白い指がこわばり、清冽な緊張を浮き上がらせていた。
今までのは許容範囲内。だけどここからは本気のノーだと全身で示している。


だがその拒絶を肌で感じとった時、身体の奥からわき上がる得体の知れない衝動があった。


やりたい、やっちゃいたい。いや、多分それ以上に、


目の前に開かれたこの白い身体に飛びかかり、力づくでねじ伏せ貪り尽くしてしまいたい。

例え相手が反撃して、そのまま殴り合いになっても構わない。
それどころかいっそこのまま太陽が眩しい白昼、世界から取り残されたような狭い部屋の中、突然野蛮に殺し合ってしまいたいような————


一瞬目の前の景色が遠のくような感じすらして、その激しさに自分でも戸惑う。

純粋に破壊的な欲動。

そこには愛どころか、性欲ですらない、何か説明のつかない感覚が混じっていた。
俺の中ではけ口を探していた、淀んでいた何か。
(いつも微笑んでいるけど、時々全部、壊してしまいたくなるんだ。)
芦川には本当はまるで関係がない、暗い情念。
それは歓びより怒りに、愛よりは憎しみに似ていて、きっと引き金はセックスでも暴力でも良かった。




身体が震え、訝しげな友人の眼差しで我に返る。膝から手を離した。

肩で大きく息をする。端から見たら滑稽な刹那の攻防戦。だけど紙一重だった。


「…やらないよ。」

声が掠れて、じん、と体の芯が痺れるような感じがした。

「確かに急にそんな、うまくいくか…わかんないし。」

言葉と裏腹に、身体にこもった熱は痛いくらいに脈打ってる。
多分、表情も余裕のない感じに強ばってる。苦しい。かっこ悪い。


すると芦川が起き上がり俺に腕を伸ばした。熱に犯されたような俺の視界にゆっくりとスローモーションのようにその動作が焼き付く。
いつの間にか余裕を取り戻し、口角を上げるあの笑い方をしてる。

「寸止めされてロコツに苦しそうな顔してんじゃねえよ。」

強ばったままの俺の肩をつかみ、強気な言葉とは裏腹に少しぎこちない動作で、もう片方の手が俺の後頭部に回る。キスされた。
ゆっくりと歯列を割り侵入してくる舌に、既にオーバーヒート気味の俺はあっという間に呼吸困難に陥る。耐えかね後ろに肘をついたとき、荒い吐息で芦川が言った。

「俺も、多分もうすぐだから、」
「…?」

その手が俺の手を彼自身に再び導き、もう片方の手の白く長い指が俺のモノにかかる。冷たい濡れた指の感触が熱く猛る身体の中心に突き刺さり、他愛なく呻いた。
長い前髪が頬に触れ目を閉じる。そして耳元で囁くのを聞いた。今日はとりあえず、これで一緒にイこう。








汗が冷えて乾いていく。互いにしばらく無言だった。
丸めたティッシュもそのままに何となくすぐに動く気になれなかったのは、柄にもなく余韻に浸っていたからだ。
それも気持ちよかったとかそうでないとか感じる以前の、上手く言葉にならない感情の残滓だった。混乱や動揺というのに近かったかもしれない。事実、俺は戸惑い、考え始めていた。芦川と保つべき距離感について。

放課後の教室で誘ったときは、とりあえず触れれば答えが解るような気がしていた。だけど逆だった。
自分がどうしたかったのか、これからどうするべきなのか、まるでわからなくなった。
今だってそうだ。お遊びは終わり、と友達モードに戻るべきか、それとも何か別の行動に出るべきなのか決めかねている。

傍らの芦川を見ると、うつぶせになり組んだ腕に顎を載せてぼんやりしてる。夕陽を見ていたときと同じ、読めない表情。何を考えているのか。

とりあえず、沈黙を破りたくなり傍らにすり寄ってみた。何だよ、とまるでさっきのことは夢だったみたいに素っ気ない態度で芦川が身を引く。でも少し笑っている。

「今日は髪の毛いい匂いしないなと思って。」
「当たり前だろ。今はもう、汗臭いだけだ。」
「シャンプー何使ってる?」
「…さあ、名前はよく覚えてない。とりあえず家族と同じの使ってる。」

それでこの前教室で、女物の整髪料みたいな匂いがしたのかと合点がいく。

「こだわりとかないんだ?へえ、意外。」
「ない。」

だいたい余分なモノ頼める雰囲気じゃないし、とぽつりつぶやくのを聞いた。俺はふと、小学校の頃の芦川がいつまでもボロボロの運動靴を履いていたことを思い出す。
余計なことを訊いてしまった気がして、そうか、と話題を変える。


「そういえば俺、こないだ彼女と別れた。」

まるで学校の屋上で話すような気軽さでぽろりと口に出してしまってから後悔した。このタイミングでこの話、相手はどう捉えるだろう?
頬が熱くなる。裸で寝っ転がっていると人間は意外と正直になってしまうものらしい。ここ数日ぼんやりと頭にあった出来事があっさり出てしまったわけだ。俺らしくもない失敗。
だが、芦川は淡々としていた。
「…ああ、小村に聞いた。」
「あいつ、流石に情報早いな。どこから聞いたんだろ。」

さあな、女子からだろと涼しい顔で肩をすくめた後、ふと芦川が皮肉な笑みを浮かべた。

「でも、そうか、それで今日、暇つぶしに俺を呼んだわけか。なるほどな。」

案の定、勝手に何かを早合点したようだった。しかもその目に皮肉ばかりでなく、何故か安堵に似た表情が浮かんでいるのに俺は落ち着かない気分になる。まるで、そうだお前といるのなんて退屈しのぎだよと俺に言ってもらいたがってるみたいだ。

「いや、違うよ。それは全然関係ない。」
「…まあ、別にどっちでもいいけど。俺は。」

芦川がくすりと笑い、気だるそうな流し目をちらりと俺にくれて訊く。

「でも、何で別れたんだ?お前ら仲良さそうだったのに。」
三谷なんか、あの宮原がバカップルになったって驚いていたぞ、と余計な一言が続く。

「別に…単純な理由だよ。向こうに愛想を尽かされた。」
「へえ。何で。バイなのがばれた?」
言葉にからかい混じりの棘があった。
「いや、ばれてないよ。だから理由はわからない。」
でも俺の方に何かまずいところがあったんだろう、と付け加える。すると芦川がむくりと上半身を起こし、布団にくるまったまま膝を抱え、ちょっと眉をひそめた。

「わけが解らないままふられて、ああそうですかって納得してるのか?」
「はは、そんなもんだろ、レンアイなんて。」
「そういう一般論じゃなくて、お前にも何か言い分があったんじゃないのかって訊いてるんだよ。何か思っただろ。さすがに。」

俺もどうかしてるけど、何でこいつが今この状況でそれを言うかなと思い可笑しくなった。けど、話をするのが妙に心地よい。

「例えば?」
「それこそ、納得できないとか、別れたくないだとか。または相手に一方的に言いたいこと言われて頭に来たとか。」
「…さほど、何も。ああそうですかって感じだ。」
「…へえ。寛大というか、淡泊というか…。」
「いや、もうだいぶ前から、ちょっとおかしくなってた…のかな。色々相手を怒らせて…」
「喧嘩でもしたのか?」
「ううん。その前に、冷たい、愛がないって言われて終わりだ。」

そうだ。あっさり終わってしまった。

改めて思い出し、初めて、胸の奥から苦い気持ちがこみあげた。悲しいような腹立たしいような気持ちが入り交じった感覚。
人として何かが欠けているような言われ方をした。それには誤解も混じっているけど、否定できない自分もいる。
結局、好きだったはずの人と歩み寄れないまま、話し合おうとする努力すらしないまま別れた。
そして割り切れない諸々の感情に向き合うのはいやだから気持ちに蓋をして、何も感じなかったことにして今、家族のいない家でこいつと遊んでる。おまけに、枕を並べて失恋の打ち明け話までする始末。
甘えてるな。それに逃げてる。色んな事から。


…逃げてるといえば、家族との関係にしてもそうだった。月曜の模試なんてさほど重要でもないのに、口実にして旅行を避けてしまった。
義父とあまり一緒にいたくなかったからだ。子供の頃から世話になったというのに、最近価値観の違いを感じて上手く話せない。家族揃うことを楽しみにしていた母は残念そうな顔をした。


そんなふうに、考えが一気にめぐって苦くなった。自分にうんざりした。だから言ったんだ。

「その子の言葉、多分間違ってない。だから何にも言い返せなかった。」

傍らの芦川が一瞬目を見開き、俺を見つめる。

「何?」

真っ直ぐな視線に、自分の表情が張り詰めたのを自覚した。

「いや、かなりダメージくらってるなって思った。」
「別にそうでもないよ。平気だ。」

すると芦川が口を開きぐさっと一言。

「嘘だ。お前、落ち込んだとき無性にヤりたくなるタイプだろ。」

俺がとっさに何と返していいか解らず絶句していると、芦川はちょっと目線を逸らした。

「…わかるんだ。俺も多分、そうだから。」

その後、こう続けて薄く嗤った。愛の無さならきっとお前より俺の方がランク上だよ。

真意はわからない。
ただ、乱れた長い前髪の間、切れ長の瞳が少し揺れたのを見た。



つづく
(すいません。長びきましたが次で最終回です…(汗))


【作者後記】
何だかエロが半端でごめんなさい。
だけど指二本じゃ痛くてまだ本番は無理だってうちの芦川が(ry

…えーと、宮原の、割と感情を抑圧して生きてるのかな、みたいなところを書きたかったです。
頭はいいし言語能力も豊かで、他人をよく観察してるけど、自分の感情を言語化することは割と避けてる、みたいなタイプ。
辛いことはなるべく考えないようにして、寂しいと言うよりは笑って冗談を言ったり、ちょっと攻撃的になったりして発散しようとする。

大人なようで、でもまだ実は余裕がなくて、ふとした弾みにそれが露呈してしまう…みたいなのに勝手に萌えてしまったのでこういう回に。

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