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「おそ松さん」二期1話を見た。笑ったしすごいよかった。それと同時に、個人的に刺さったのはこのアニメの「風景で語らせる力」だった。一期のときからそれは感じてたんだけど、二期は刺さった。
以下、映像と一緒に振り返ってみる。【ネタバレになるので隠します】
以下、映像と一緒に振り返ってみる。【ネタバレになるので隠します】
冒頭、高度経済成長期の日本。東京タワー(1958年建設)ぽいものと、「松の湯」看板。風呂のない家も多かった時代。1960年代にありそうな風景。
ゴチャゴチャしてはいるが、銭湯の繁盛ぶりから、皆が似たような方向を向いて集っている様子を想像させる。
ご存じ松野家。昭和の模範的な家屋。堂々としている。
場面は変わって2016〜2017年その1
一期にはない構図、上からの俯瞰で違和感を感じさせる。一期と同じ時代なのはわかるが、変貌の予感。東京の井の頭公園付近を思わせる風景。調和はないが、「東急」「ゆざはや」など、20世紀から連続したブランドの配置。住宅街が多い。これといって訴えるもののない郊外的、ベッドタウン的街並み。
変貌した松野家。はちゃめちゃさの中にバブル期を思わせる要素(正面のあたり)。街並の地味さが、非現実的なはじけぶりを強調している(このために地味な街を出したのか、感)。
「ちゃんとした」2016〜2017年頃の未来その2
全く違う風景。2010年代以降の、真新しい分譲地を思わせる街並み。東京だったらかなり郊外、あるいは地方都市かも知れない。基本的に家族連れしかいない(こういう場所はここ5年の間に出来た街ならどこにでもある)。
上記のような街に典型的な作りの家。画一的で白く、 小洒落てて、中もハイテクそうな感じ(オール電化してそう、みたいな)。周りにはスーパーや学校など一通り揃ってるが猥雑なものはない。貧しい人も視界に入らない世界。
ホワイトカラー層の、自家用車通勤をするタイプの人が住んでいる(とすると東京かは不明。そのタイプならタワーマンション住んでそうなので)。おそ松の通う会社はそこそこハイテクでセキュリティもきっちりしている。
昭和の火葬
「ちゃんとした」未来はこない。しかし昭和を象徴する家は燃える。あとには戻れない。
ここでナレーションが入る。
「努力してもクソ、ちゃんとしてもクソ」
「出口のない迷宮へと迷い込みました」
そして場面転換して、一期でおなじみの街並みが映る。個人的にはここで鳥肌が立った。
ナレーション「何をすればいいのか、どこへ向かうべきなのか、答えは見つからないまま大人になり…」
バラバラのスピードで変貌を遂げる都市の風景がうつる。
左側には陽の当たる高層ビル群と新しいタワー、手前には野放図に広がる商業地区。郊外のようにも見える。
真ん中で東京タワーと、昭和ぽさの残る遊園地がぽつんと遠くに取り残されている。
それぞれの地区はもはや、同じ夢を見ていないだろう。
一期でおなじみ松野家。
高層ビル群の世界ではなくほどほどに生活感のある地区。しかし両隣を陽の当たる店舗にはさまれて、街の発展から取り残された感じを与える。
そして、「どこへ向かうのか」途方にくれた住人の戸惑いが暗示される。
しかし、未来その1,その2よりも明らかに「いろいろな人がいる街」が描かれている。そこに視聴者はほっとする。「地に足の着いた」出口のなさ。
長くなってしまったが、とりあえず「風景が最高!」ということを言いたかった。
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