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黒髪に頬を寄せれば、
目を閉じて微笑む気配がした。
絡まる腕と腕、指と指、体温。
どちらからともなく寄り添っていた。
言葉が見つからずに無言だった。

そして長い静寂の後、不意に君がつぶやく。

今はいい、でも後で寂しくなるんだ。

背けた顔、表情は見えなかった。

部屋の片隅で、重たげな旅行鞄が主張する。
わかってるけど今は考えたくなくて、
答えるかわりに抱き寄せた。

重なる鼓動を感じながら、
遠くに鳥の声を聞く。

夜明けがもう、すぐそこまで来ていた。
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Toi

君は遠いところにいる
それは海の向こう
光るディスプレイ越しに君の言葉を読む
いつも通り馬鹿な事しか書いてない
そうでなければ簡単な連絡事項だけ
暗黙のルールにならったコミュニケーション
だけど君を想うと少し幸せになる
無造作に選ばれた言葉が気を楽にする
低俗で下劣な事ばかり言うけれど
決して甘い言葉や出来ない約束をしない
互いを脅かさないギリギリのラインで交われる
即物的な確かさと馴染んだ歓びに、毎回更新されるかすかな予想外がある
そこが好きなんだ

守ろうとしないから安堵する
慈悲深くないから鼓舞される
自由の中だから儚い体温を覚えている


時差の刻まれたメール
本当に遠くにいるんだね



今何してる?



その瞳、唇、皮肉な笑顔
何だか思い出してしまったのは
きっと夜が深いせいだ




誕生日おめでとう

お伽噺

いきなりですが、よしながふみ『大奥』の玉栄のイメージでw




孤児であった。
見窄らしい襤褸をまとい、虱だらけの頭で、物乞いなどをして命をつなぐ日々、この世に頼るもの一つ無く河原をさまよい歩いていたところ拾われた。

その人と出会ったときのことはよく覚えている。
見上げた眼差しの上にあったのは少年の顔。年の頃は自分より三つ、四つ上であろう。
僧衣を着ていたが、すぐにやんごとなき家の子息であるとわかった。

この世にはこういう人もいるのだ、と思った。
ほほえみかけられ、つい目を伏せた。
胸が痛み、だがそれは幸福という感情に近いのかもしれなかった。

足下の石ころを見つめてぼうっとしていたら、白い手がすいと伸びる気配。
汚れで芥と絡まり固まった俺の髪をそっと撫でる指の優しさに、河原に来てから初めて、泣いた。

無題

古い友人
一瞬の間
聞き慣れた音楽


少し冷えた指先を重ね



見開いた目に天井

お決まりの儀式

瞳を閉じたのは現実逃避じゃない






夜、一人で河を渡る

街の灯に煌めく闇の向こうを見つめれば
ずっと吸い込まれていくようで
このままどこまでも行ってしまいたくなる
列車に揺られ、この身一つだけ抱きしめ
遠くへと


いつもいつも、訪れる
同じ風景同じ感傷(しかし僅かながらの高揚感)
そして蘇るリフレイン




愛のために
愛のために
とお前は言った



人形

紫水晶の瞳
長い睫毛

お前のためならなんでもすると
彼は囁いた

もともとその身より他に何も持たないから
(何も与えられてこなかったから)
夜一人、列車に乗り海を越えた



愛のために
愛のために

確かに
愛する二人を裁く事など誰も出来はしない
細いお前に寄り添う大きな影
盾となる大人
お前は彼の子供になった



愛のために
愛のために


他に何を言うことが出来ただろう?
甘い言葉
一生を誓う約束


お前は可憐で儚くどん底にいた
彼からは富の匂いがした
可愛い人形
清潔で安心な白い家がお前を待ってる
海の向こうに一瞬
見えたのはこの世の楽園

明日の糧、暖かい夜具、保護、可愛い子供

存在意義

全て彼はくれると言った

愛と引き換えに
くれると言った




(そして全て
賭けられる)

(お前の未来も価値も)

(全て)



誰がお前を、そして彼を裁くだろう?
今日の悲惨と
明日の夢
必死さの分だけ
純粋だった



愛のために
愛のために




inspired by "par amour" (Diam's)

故郷

故郷

一面に落書きされた壁の前で、君が言った。

此処が僕の故郷さ。

近くには大きな河が流れていた。
灰色の水面が単調に視界を滑っていく。

声をかき消したのは車道の喧噪。
空に交差する高速道路、街を切り刻むように。


君の育った世界のことなんて僕は知らない。知ろうとしたこともない。


だけど、

そんな挑むような瞳で僕を見ないで。

ghetto

ゲットー

母さんは掃除婦、父さんは失業中。
でかい集合団地のあるクソみたいな街で育った。
国が作ったゴミため場だ。クズはここに居ろってさ。
急行も止まらない俺たちの街はパリへの玄関、足拭きマット。

娯楽?ショッピングセンターとマクドかな。
それもうちからじゃバスで20分。
学校出たって仕事無い。親父見てそれは知ってる。だからまるで行く気無し。

昨日無賃乗車したら、駅で警備員に捕まってボコられた。
俺がアラブ系だから、いかにもラップばっか聞いてそうな面してるから?
どこへいってもポリスが寄ってくる。
俺が尋問されてる横で肌の白い奴らは素通り、捕まっても無罪放免だ。
最近は特に最悪。サ○コジ(大臣の名)のバカが警察大動員、アラブやアフリカンを軒並み逮捕。
もうキレそう。マジ石投げたい。

こないだ、隣町で俺みたいなガキが二人死んだ。
アフリカだかトルコ系だったか、とにかく郊外育ちの。
警察に追われて逃げ込んだ先が発電所、そこで感電死したってさ。

(いや、実は警察に追われてなんていなかったのに勝手にびびって逃げたとも聞いた。
ほんとのことなんてわかんねえ。つうか、そんなのどーでもいい。)


さっき、サイードから携帯に電話あった。
これから学校と交番に火炎瓶投げに行くから、お前も来いという。
仲間集めて、遅ればせながら弔い合戦。会った事も無いそのガキのために。



会った事無いけど、多分運命は同じだ。
俺もあいつらもアッラーの子だから。

キリストも学校も金持ちどもの味方だけど、イスラムだけはきっと貧者のもの。
何故か俺にはそんな気がしてならない。
(だって俺の周りのムスリムは、どいつもこいつもみんな貧乏。)

でも俺はコーランが読めない。誰も教えてくれなかった。
父さんも母さんもアラブだけど、俺はフランスで育ったから。
親の故郷?行った事あるわけ無いじゃん。
うちはバカンスにだって行けねぇんだ。


この街だけだ。これがフィールド。
生まれたときからずっと、多分死ぬまでここが、
俺の戦場。


そして今夜、始まる。

俺たちの聖戦(ジハード)が。

汚れた手

汚れた手(キルビス妄想)

あんたがあの子を追いかけるの、なんでだか知ってるよ。
自分にないものを埋めてくれるような気がするんだろ。

ほら、またそういう風に笑う。
目を合わせずに、口の端だけ微かにゆがめるように

馬鹿な子だね。
汚れていない手なぞないって、何度いったらわかるんだい?

ほらご覧。
例えば、あんたとあたし。
さして変わりないだろ。

みんな同じさ。


…ダメなのかい?


どうして、あの子が特別なんて思うのさ。
そんなにまぶしそうな目をして。

え、ババァにはわからないって?
言うね…。



(まあ、その通りかもしれないわさ)


何?

寂しいのかい?



(気まぐれに、長い髪をたぐりよせた。
その気になれば速攻かわせるくせに、平気でなされるままになってる。
見かけばかり少女のような頬をして、ひどく冷めた流し目で俺を一瞥。
あり得ねえこいつ。
ババァのくせに。

至近距離に唇。
思わず顔を背けた。

甘ったるい香りがした。
男のとは違う。

急に、ゴンの傍らにいた華奢な影を思い出した。
幼なじみとかいってたっけ?
背格好が似てるんだ。)




だめだね、あんた。
あしらいってものをわかっちゃいない。

自分から誘っておいて、急に手を引くもんじゃないよ。


斜め横顔で考え込んでる。
額をこづいたら、黙ってなされるがまま。


これだから、あんたってやつは。




【言い訳】

ビスケの口調、ちょっとうまく出来てるか怪しいです…。
今、彼女の出てる巻が手元に無いんで。