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雑念手帳

サイトの日記ですが、同人サイト訪問者様用に公開されたJUNK妄想雑文メモ置き場兼ねてます。「何となくこのキャラのイメージで出てきた妄想だけど限定はしない」系の小説未満な小話がごっちゃりです。

(1)日本における二次創作同人と著作権の問題
数日前に書いた記事の続きとして考えた文章をうpします。
すごい…長くなっちゃってますんで三つに分けて投稿します…



前回の自分の記事を読みかえしてみて、色々問題を混ぜて書きすぎてしまっていたなと気づいた。以下、話をすっきりさせるため三つの項目に分けて記事投稿することとする。

(1)日本における二次創作同人と著作権の問題
(2)2007年頃から同人市場一般で盛り上がった性表現規制の問題
(3)女性同人にとりわけ強い「恥」の感覚

もちろんこれらは全て重なる部分があり、(1)、(2)はいわば(3)の背景となっているとも思われる。だが(1)、(2)はデータ不足その他で私のキャパシティを超える部分があるので主にリンクや関連記事の紹介を中心とし、(3)にとりわけ力を入れることとする。従って(1)、(2)はいわば(3)に至るための背景説明のような位置づけとなるので、文章が長すぎると思われる方は(3)から読んでいただければと思う。



(1)日本における二次創作同人と著作権の問題

この問題についての議論はある程度蓄積がある。例えば、私が「二次創作同人にも法的保護を」という論点を知ったのは以下の記事でだった。
http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/post_83e7.html

それ以来ぼんやりと気になっていて、フランスの法律も少し調べてみて書いたのが前回の記事…というかつぶやきだった。パロディを保護するという名目で同人活動を完全にクリアーに合法化することも考えていいのじゃないか、と思ったわけだ。
この問題については既にシンポジウムなど行われ、色々議論も活発である。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/person/20060904/109190/
http://business.ascii.jp/elem/000/000/125/125606/index-3.html

全体として、
・法的なグレーゾーンというものは無くなるものではないし、むしろ合法と非合法の間のような場所でこそ面白い表現が生まれる可能性がある。
・かといって不適切なほどグレーゾーンを放置するのも問題で、合法化しやすい対象から適切な法的保護を考えていくことは必要だろう。
という論調で話が進んでいる。
(なお、上記引用のシンポジウムでの議論によると米国では批判・風刺精神が前面に出た「パロディ」といわゆる版権物を使った創作というだけの「二次創作」を区別する議論があるようだが、この際それはちょっと置いておく。)

しかし、一方で、じゃあどういう制度化が必要かという具体的な議論はまだ始まっていないという印象。
例えばだが、フランス型の法的保護を考えるとしたら、フランスと日本の同人マーケット及び漫画産業のあり方の違いは考慮に入れねばならないだろう。当然ながらフランスには日本みたいな大きい「同人」市場があるわけではない。実際、パロディ保護の対象として想定されているのは、例えば有名な人をもじった演劇を行ったり、新聞に人気作品の風刺四コマをのっけるなどの類である。同人誌イベントもあるが、参加者の規模はまだ数千人規模といわれる。また、同人市場が深く関わる漫画業界の規模も全然違っている(注1)。
従って、産業構造の違いがある以上、そのまま法律を持ってくることに慎重にならざるを得ない面はあるだろう。これは純然たる私の推測だが、例えば合法化すれば、amazonである漫画の作品をクリックしたらその側に同人作家の作品がリンクで出てくる、みたいな状況が可能になるかもしれない。いかなる経済的影響があるか、著者と同人作家の間でどういう関係性の確立が可能かを真剣に考えないといけないだろう。
そういうわけで、ここまで話が大きくなると、これはもうどこかのシンクタンクにまともに調査してもらう必要があると思うので、これ以上この記事では言及しない。


(注1)
例えば2007年におけるフランスでの漫画単行本発売点数は欧米の漫画、日本の漫画翻訳本も含めて総タイトル4300点ほど(うち日本漫画の翻訳は1400点ほど)となっている。
最も多く発売された漫画の発行部数は55万部ほど。ただし年間発行部数の記載は見つからなかった。
参考:http://www.bandedessinee.info/-Rapport-ACBD-2007-Diversite-et-.html
対して、日本の総務省の統計によると2004年には一万点あまりの漫画が出版され(雑誌扱いも含む、翻訳本の割合は不明だがほぼ日本のものと思われる)ている。最も売れた漫画の部数はわからなかったが、年間発行部数が7億冊ほど(平均して各タイトルが7万部売れた計算になる)。
参考:http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/pdf/060623_5_02_02_3.pdf
統計のやり方が厳密に同じではないため単純な比較は難しいが(例えばフランスの統計では雑誌の扱いが不明であるし、日本の統計には翻訳ものの記載がない)日本の漫画市場の大きさは明らか。
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