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雑念手帳

サイトの日記ですが、同人サイト訪問者様用に公開されたJUNK妄想雑文メモ置き場兼ねてます。「何となくこのキャラのイメージで出てきた妄想だけど限定はしない」系の小説未満な小話がごっちゃりです。

ユリイカ腐女子・BL関連特集号(遅まきながら)
ちょっと前の話になりますが、ユリイカが最近腐女子やらBLやらについてかなり頑張って特集組んでまして、私も買ってちまちま読んでました。







以下、雑感というか、個人的に面白いと感じた論考に関して簡単な感想コメントかきます。(なお、作家さんとの対談の類は豪快にスルーしてあります。すいません…)
既に様々な批評ブログで取り上げられているので今更何を言うかなのですが。


6月臨時増刊号「腐女子マンガ体系」

・石田仁「ゲイに共感する女性達」
→90年代初頭における女性誌および女性向けマンガ文化とゲイカルチャーの出会いと別れについて、歴史的、社会学的においかけてます。

・守如子「ハードなBLその可能性」
→男性向けハードエロ描写とBLのハードエロ描写における「視点」の違いについて分析。BLは二人を画面に入れる、攻の表情を描く、少女漫画で発達した手法である心のモノローグが多い、など。

あと、これは論文じゃなくて作品紹介だけど、
・吉本たいまつ「男性向けとBLを共に描く作家」
→星逢ひろさんやBENNY'Sさんなどに言及。男性でBLと男性向けエロ双方において人気を博している作家が殆どいないことから、両者を比較。吉本氏の分析によると、男性エロ作家の特徴は、性的欲望をストレートに表現することはできるが、その欲望のあり方が異性愛中心主義と自分の男としての肉体感覚につよくしばられていることにある。対して、男性向けとBL双方を描ける女性エロ作家の特徴は、欲望を直接表現することに不自由さがあるが、視点の移動において自由であり、自分の身体感覚にもあまり縛られていないことにある。


12月臨時増刊号「BLスタディーズ」

・金田淳子「やおい論、明日のために その2」
→これまでの先行研究を出来る限り網羅して分類。これは学術的にすっごく貴重!

・藤本由香里「少年愛/やおい・BL」
→時代に合わせてそれまでの自説を修正し、かつ先行研究を整理した上で「やおいにより何を楽しむことが可能になったか」を考察。その結論の一つとして、やおいは「ジェンダー(性差)の娯楽化」の遊びではないかという永久保陽子の主張を支持する議論を展開。

・森川嘉一郎「数字でみる腐女子」
→日本における「オタク差別」をもっと深刻な問題として考察することを提唱。彼は「腐女子がオタ男子同様非モテ傾向がある」とした上で、腐女子をあまりにも「普通の女性と同じ」として論じると、腐女子がひょっとするとオタ男子と共有している(かもしれない)問題がみえなくなるのではないかと主張。欧米のカルチュラルスタディーズとは違う枠組みで腐女子とBLを論じることを求める(ただし具体的な指針は示さず)。
なお、非モテを立証するに際する彼の統計資料の扱い方について社会学者の千田有紀氏から疑念が示された。両方併せて読むと面白い。

・石田仁「『ほっといてください』という表明をめぐって やおい/BLの自律性と表象の横暴」
→私、この人の議論好きみたいです(笑)。「ヤオイ論は当事者である腐女子達にとって迷惑かどうか」「ゲイ、ビアンはBL、百合をどう捉えればいいのか」を考えている。結局結論は出せないんだけど、あらゆる可能性を模索しているようなところが好感がもてる。
あと、ごく個人的な好みから、私、クィアの立場からBLを論じる論者にどうしても興味を感じてしまうみたいです。今回はあげなかったけど、「腐女子漫画体系」に載ってた溝口彰子さんも気になる論者です。
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コメント

1. 無題

寒中お見舞い申し上げます(ぺこり)。

今回取り上げられてるのはどっちかは読んだよなあ……既に記憶がどこかへ……。
冬に出たとかかれているほうが新鮮な感じがしたというのはそっちの方を読んでいないということみたいです。
1,300円は今のわたしにはきついけど、なんとか入手したいです。
今年もよろしくお願いします(昨年中はいろいろお世話かけました……って今日何日じゃ)。

2. 無題

実はこれは気にならない事は無いのですが、タイトルにひっかりを感じてまだ購入していないのです。
私の中で『オタク女性』≠『腐女子』なので、この境がまた大きなものなのです。
あと、BLと言う呼び名が好きでは無いのも壁というか…。『やおい』なら問題無いんですが(私、ゴタク多いわ~。ま・オタクだから仕方無いのですけど)
でもBENNY'Sさんの事が書かれているなら、買うかも知れません(笑)

3. 無題

>べにすずめさま

こちらこそ今年もどうぞよろしくお願いしますw
確かに雑誌としては高いですよね。
図書館とかにも結構は入ってるかもしれませんよ。
評論好きの方なら面白いのではないかと思います。インタビューなんかはテンポがよくて読みやすい感じ。

>櫻子さま

あ、「オタク女性」と「腐女子」の違いあたりはかなりしっかり把握してる文章が多いんでだいじょぶと思いますよ~。
というか、年代や世代ごとにやおい(または商業BL)がどう変わったか、JUNEとは何か、BLとはどこか違うのか、みたいな細かい考察もありますし。あと、私はあまり書かなかったですがインタビューや作品紹介もけっこう多いです。ただしBENNY'Sさんは残念ながらさほど詳しい紹介がある訳じゃないですが…。
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